最終更新日
2024.10.30
腰部脊柱管狭窄症
【腰部脊柱管狭窄症の症状】
殿部(お尻)、股関節、太もも、ふくらはぎ、足部など、腰から下に痛み、しびれ、だるさ、つっぱり感などの症状が出ます。足のこむら返りが起こりやすくなる場合もあります。長時間の歩行で足などに痛みやだるさが出現し、座ったりかがんだりしてしばらく休めばまた歩けるようになる間歇跛行(かんけつはこう)と呼ばれる症状もしばしば起こります。腰痛が生じることもありますが、主には腰よりも下に症状が出ます。
【腰部脊柱管狭窄症の原因】
加齢に伴う椎間板の突出、靭帯の肥厚、腰椎の変形などにより脊柱管という神経の通り道が狭くなり神経(脊髄や馬尾)を圧迫することで、腰から下に痛みやしびれなどの症状が出ます。基本的には年齢と共に進行することが多いです。
椎間板ヘルニアと症状や原因は似ていますが、椎間板ヘルニアは「椎間板が主に1か所で突出することにより腰の神経を圧迫する」のに対して、脊柱管狭窄症は「椎間板の突出、靭帯の肥厚、腰椎の変形など加齢に伴う様々な要素により、複数の箇所または広範囲に腰の神経が圧迫される」状態です。
【腰部脊柱管狭窄症の診断】
症状、身体診察、レントゲン画像に加え、MRIを撮影することで神経が圧迫されている部位や程度を正確に診断することが可能です。
【区別が必要な疾患】
・閉塞性動脈硬化症(下肢の血管閉塞で循環器内科など受診が必要)
・腰椎椎間板ヘルニア
・梨状筋症候群
・変形性股関節症
・変形性足関節症
・足根管症候群
その他、腰から下に痛みを生じる疾患とは注意して区別が必要です。
【腰部脊柱管狭窄症の治療】
内服薬
神経周囲の炎症を抑える、痛みの伝導路を遮る、神経周囲の血流を改善する、など脊柱管狭窄症に効果的な内服薬は種類が豊富にあるため、症状や体質に合うものを探していきます。複数を組み合わせて使うことが多いです。
適切な体操、筋力トレーニング、ストレッチ
症状の緩和や進行の予防のために運動は重要ですが、不適切に行うと逆効果で病状を進行させてしまう場合もあるため、リハビリテーション(理学療法)により適切な運動方法を習得することが重要です。
物理療法
腰椎の牽引、干渉波、低周波などで症状を緩和できる場合があります。
体重コントロール
過度な体重増加は腰への負担を増やし症状や病状を悪化させることがあります。適切な体重コントロールも重要です。
神経根ブロック
当院では行なっておりませんが、リハビリや内服薬で効果不十分な場合は、痛みの原因となっている神経の根本に直接痛み止めなど注射する神経根ブロックが有効な場合もあります。神経根ブロックが望ましいと判断した場合は、ペインクリニックなど適切な医療機関へご紹介させていただきます。
手術
上記のような保存的治療で症状が改善しない場合は、手術が必要となるかもしれません。手術は、圧迫の原因となっている骨や靭帯を切除する「椎弓切除術」をはじめとし、病状に応じて複数の術式があります。手術が望ましいと判断した場合は、適切な医療機関へご紹介させていただきます。