最終更新日
2024.10.16
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
【骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは】
骨の密度や骨の質が低下することで骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
高齢化に伴いその数は増加傾向にあります。
一度骨折してしまうと、その後のQOL(Quality Of Life:生活の質)や健康寿命に大きな悪影響を与えてしまうことも多く、最悪の場合寝たきりの原因となる場合もあります。
日本では、超高齢化が進む一方で骨粗鬆症の健診率(骨密度検査を受けている方の割合)が欧米諸国と比べて非常に低く、骨折やそれによる寝たきりの予防が十分でないとして問題視されています。
【骨粗鬆症の症状】
骨粗鬆症自体で痛みはないのが普通です。しかし、少しのはずみで骨折しやすくなります。これを脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折と呼びます。
特に脆弱性骨折が起こりやすい部位は、背骨(胸椎・腰椎の圧迫骨折)、手首(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根(大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折)などです。その他も、上腕骨、肋骨、骨盤、足首なども骨粗鬆症により骨折しやすくなります。
【骨粗鬆症の原因と病態】
骨形成と骨吸収の程度が釣り合っていれば骨量は保たれますが、このバランスが崩れて骨吸収のほうが相対的に速くなると骨量が減少し骨が弱くなっていきます。
骨粗鬆症は老化との関わりが深いため男女共にみられますが、閉経による女性ホルモンの減少も大きな原因と考えられているため圧倒的に女性で多くみられます。
【骨粗鬆症の診断】
骨密度測定
骨密度を測定する方法には、DEXA(デキサ)法*、超音波法、MD法*、CT法*などがありますが、当院では最も一般的なデキサ法で行います。
主な検査結果はYAM(ヤム)値*と呼ばれる数値(%)で表されます。YAM値とは、健康な若年成人の骨密度と比較した数値であり、80%以上が正常、70-80%で骨量減少、70%未満で骨粗鬆症と診断されます。
ただし、すでに骨折したことがある場合は、数値が高くても骨粗鬆症と診断される場合があります。
レントゲン検査
気付かないうちに背骨(脊椎)の圧迫骨折をしていることも多く、レントゲンでその有無を確認することで骨粗鬆症診断の助けになります。
血液検査
骨形成と骨吸収のマーカー(指標)と呼ばれるもの測定することで骨形成と骨吸収の程度を数値で見ることができます。
それにより骨形成が不足しているのか骨吸収が過度なのか、その両方なのか骨粗鬆症のタイプを診断することができます。
DEXA:Dual Energy X-ray Absorptiometry
MD:Microdensitometry
CT:Computed Tomography
YAM:Young Adult Mean
【骨粗鬆症の予防】
- ビタミンK、リン、マグネシウムを摂る。
- 適量のタンパク質を摂る。
- 適度な運動をする(骨に適度な負荷をかけることで骨は強くなります)。
- 日光浴をする(日光によりビタミンDが活性化され骨形成を促進します)。
- 禁煙し、アルコールは控えめにする。
【骨粗鬆症の治療】
・ビタミンD製剤(内服)
・女性ホルモン補充療法(内服)
・骨吸収抑制剤(内服、注射)
・骨形成促進剤(注射)
・骨吸収抑制+骨形成促進剤
それぞれの薬に特徴やメリット・デメリット(投与方法〈内服、自己注射、クリニックでの注射など〉、投与頻度、継続期間、副作用、価格など)があり、一概にどの薬が良いとは言えません。
ご心配な方はまずは一度骨密度検査を受けていただくことをお勧めします。