公開日
2025.12.06
拡散型体外衝撃波(Radial Extracorporeal Shock Wave Therapy: r ESWT)導入のお知らせ
拡散型体外衝撃波(Radial Extracorporeal Shock Wave Therapy: rESWT)導入のお知らせ
この度、当クリニックでは新しい治療機器として拡散型体外衝撃波(Radial Extracorporeal Shock Wave Therapy: rESWT)を導入いたしました。非常に高性能で効力の高いストルツ社 マスターパルスMP100 です。
運動器リハビリテーションの一環として保険診療の範囲内で治療を受けていただくことが可能です。
痛みの治療に大きな効果が期待できる最先端の治療法について、詳しくご紹介します。
1. 体外衝撃波とは
体外衝撃波治療とは、もともと腎臓や尿管の結石を破砕する目的で開発された技術を、整形外科領域に応用した治療法です。体外で発生させた高エネルギーの音波(衝撃波)を、患部に集中的に照射することで、疼痛の軽減や組織の修復を促進します。
衝撃波には大きく分けて2種類あります。
- 集束型(F-ESWT): 焦点で最大エネルギーを発揮し、より深部の病変や石灰化の破砕に適しています。
- 拡散型(rESWT): 比較的小さなエネルギーの衝撃波を、広範囲にわたって放射状に(拡散させて)伝達させます。このため、腱や筋肉などの浅い組織や広範囲の慢性的な痛みの治療に特に適しています。当クリニックで導入したのはこの拡散型です。
2. 体外衝撃波の機序(メカニズム)
拡散型体外衝撃波が体内で作用する機序は、主に以下の3点と考えられています。
① 痛みを伝える神経の鈍化(鎮痛作用)
衝撃波が繰り返し照射されることで、痛みを伝える神経線維(自由神経終末)が刺激され、一時的に活動が鈍化します。これにより、痛みの信号が脳に伝わりにくくなり、慢性的な痛みを素早く軽減します。
② 組織の再生と修復の促進
衝撃波の物理的な刺激は、細胞レベルでの微小な損傷を引き起こします。この刺激が、体の自然な治癒反応を活性化させます。具体的には、血管内皮増殖因子(VEGF)などの成長因子の放出を促し、新しい血管(新生血管)の形成を促進します。これにより、患部の血流が改善し、酸素や栄養素が運ばれやすくなることで、組織の再生や修復が促進されます。
③ 炎症の軽減
衝撃波は、患部に慢性的に存在する炎症性物質を洗い流す効果や、炎症を抑える細胞の働きを活性化する効果があると考えられています。
3. 体外衝撃波の適応疾患
拡散型体外衝撃波は、特に慢性的な腱炎や筋・筋膜性の疼痛に対して優れた効果を発揮します。
肩:石灰沈着性腱板炎、肩関節周囲炎の一部
肘:上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、上腕三頭筋腱付着部炎
手、手関節:ドケルバン(デカルバン)氏病(腱鞘炎)、ばね指、手根管症候群
股関節、殿部:大転子部痛症候群、石灰沈着性股関節炎、梨状筋症候群
膝:鵞足炎、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
足、足関節:足底腱膜炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部症、シンスプリント
その他:筋筋膜性 疼痛症候群(頚部痛、腰痛など)
特に「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」「足底筋膜炎」「アキレス腱炎」といった、長期間治りにくい難治性の腱・靭帯疾患に対して、非常に有効性が高いとされています。
4. 体外衝撃波の治療効果
体外衝撃波治療は、以下のような点で高い治療効果が期待されています。
① 高い鎮痛効果と持続性
前述の通り、神経の鈍化と組織の修復促進により、治療直後から痛みが軽減することが期待できます。特に、薬物療法やリハビリテーションで改善が見られなかった慢性的な痛みに対して、高い効果を発揮する可能性があります。効果は一時的なものではなく、組織の再生を促すため持続的な改善が期待できます。
② 非侵襲的な治療
メスを使わないため、切開の必要がなく、入院の必要もありません。治療時間は数分で、体への負担が少なく、日常生活にすぐに戻ることができます。
③ ステロイド注射の代替治療
慢性の腱炎に対し、繰り返し行うステロイド注射は組織を脆くするリスクがありますが、体外衝撃波治療は組織の修復を促すため、ステロイド注射に代わる安全な治療法として注目されています。
④ スポーツ障害への早期復帰
アスリートやスポーツ愛好家の方の、難治性のオーバーユース症候群(使いすぎによる障害)に対して、治癒を早め、競技への早期復帰をサポートする有効な手段となり得ます。
治療の流れと注意点
治療の流れ
1. 診察・診断
医師が痛みの原因となっている患部を特定します。体外衝撃波の適応があると判断した場合、運動器リハビリテーションの一環として、理学療法士によりr ESWTを施行します。または、すでにリハビリテーションを受けている患者様で、症状の改善が乏しく、r ESWTの適応がありそうな場合、理学療法士と医師が相談の上、治療を開始することも多くあります。
2. 照射
患部に専用のジェルを塗り、アプリケーター(照射ヘッド)を当てて衝撃波を照射します。理学療法士により施行します。
3. 治療時間
1回の治療時間は数分です。
4. 回数
症状や疾患にもよりますが、週1回程度の治療を3回程度行うことが標準的です。
副作用と注意点
治療中、患部周辺に痛みを伴うことがありますが、照射レベルを調整しながら行います。
治療後、一時的に赤みや腫れ、内出血などが生じることがありますが、通常は数日で治まります。
悪性腫瘍がある部位、成長期で骨端線が閉じ切っていない部位などには治療を行えません。
当クリニックでは、患者様一人ひとりの症状を的確に評価し、保険診療の範囲内で、最適な治療計画をご提案いたします。長引く痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
ご自身の症状に体外衝撃波治療が適しているか、医師が詳しく診察いたします。

