最終更新日
2024.10.30
足関節捻挫(足首の捻挫)
【足関節捻挫について】
スポーツ中や段差などで足首を捻ってしまうことで生じる、足関節周囲の靭帯損傷です。靭帯損傷がひどい場合や骨折を伴うこともあり、適切に治療しないと症状が長引いたり、足首の緩みや捻挫ぐせ(足関節不安定症)、将来の変形性関節症(軟骨のすり減りによる痛み)の原因となる場合もあるため、初期の診断と適切な治療が重要です。
主に足関節外側の前距腓靭帯、踵腓靭帯の損傷ですが、内側の三角靭帯、前方の前脛腓靭帯、腓骨筋腱、後距腓靭帯、足の甲の二分靭帯、などの損傷を伴う場合もしばしばあります。
【足関節捻挫の程度】
Ⅰ度:前距腓靭帯の部分損傷(痛みや腫れがあるが歩行は可能)
Ⅱ度:前距腓靭帯の完全損傷(痛みや腫れが強く歩行に支障をきたす)
Ⅲ度:前距腓靭帯、踵腓靭帯の完全損傷・複合損傷(ひどい痛みと腫れがあり、歩行不能)
※()内は症状の目安で、必ずしもそうであるとは限りません。
日本整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ」より引用
https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s02.pdf
【足関節捻挫の診断】
レントゲン検査
骨折、裂離骨折(剥離骨折)、を伴う場合もしばしばあるため、レントゲン検査は必要です。
エコー(超音波画像診断)
靭帯損傷の有無や程度を見ることができます。
MRI
症状が強い場合や長引く場合は、骨挫傷(骨の中の損傷)や軟骨損傷の有無を確認するために行う場合があります。
【足関節捻挫と区別が必要な外傷】
・足関節骨折
・リスフラン関節損傷
・腓骨筋腱脱臼
・アキレス腱断裂
・第5 基節骨骨折
・外脛骨障害(有痛性外脛骨)
など、きっかけや症状が似ている外傷も多くありますので、きっちり診断することが重要です。
【足関節捻挫の治療】
RICE処置
外傷の初期治療の原則ですが、
できれば受診までの間も、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)を行ってください。
※ ただし、冷やし過ぎや圧迫のしすぎには注意してください。
外固定、免荷(松葉杖歩行)
靭帯損傷の程度や骨折の有無により、1週間から3週間程度(場合によってはそれ以上)のギプスやシーネ固定が必要なことがあります。軽症の場合は包帯やサポーターによる固定のみで済む場合もあります。
物理療法
超音波治療を行うことで損傷した靭帯修復を促進することができます。
リハビリテーション
痛みや腫れがある程度改善し、外固定期間が終了する頃から、足首や足指の可動域訓練、筋力訓練、再発予防のトレーニングなどを開始し、日常生活、仕事、スポーツへの復帰を目指します。適切なリハビリを行うことで症状の残存(後遺症)や将来の足関節不安定症や変形性関節症を防げる可能性が高くなります。
スポーツ復帰
程度に応じて復帰まで3週間〜6週間程度かかることが多いです。それ以上かかる場合もあります。
例えば、1週間シーネ固定を必要とするようなある程度強い損傷の場合、
・1週間後〜 荷重歩行開始、リハビリテーション開始
・3週間後〜 ジョギング開始
・4週間後〜 フットワーク、ジャンプトレーニングなど開始
・6週間後〜 実践練習開始
など、しっかりと段階を踏んで復帰することが必要です。
※上記はほんの一例であり、病状に応じてスケジュールを調節します。
昔は「捻挫ぐらい根性で何とかしろ。」という具合で、休まずに仕事やスポーツを続けることが多かったかもしれませんが、それでは十分な復帰にかえって時間がかかり、後遺症を残す可能性も高まります。
初期から適切な診断と治療を行うことが重要ですので、まずは医療機関を受診してください。