思春期のスポーツと栄養  ~食事不足が疲労骨折を引き起こす?~の症状や治療、予防について

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最終更新日

2026.10.21

思春期のスポーツと栄養  ~食事不足が疲労骨折を引き起こす?~

中学生や高校生になると、部活動などでスポーツに打ち込む機会が増えてきます。

スポーツは骨や筋肉を強くし、健康な身体をつくるうえで非常に大切です。しかし、運動量が増える一方で、食事から十分なエネルギーを摂取できていない子どもたちも少なくありません。

実は、思春期のエネルギー不足は、疲労骨折の重要な危険因子の一つです。

今回は、成長期に必要なエネルギー量と、食事不足が骨に与える影響について解説します。

① 思春期は人生の中でもエネルギーが必要な時期

私たちの身体は、運動しているときだけでなく、呼吸や体温維持、心臓の活動など、生命を維持するためにもエネルギーを消費しています。

さらに思春期には、身長が伸び、筋肉や骨が発達するため、成長にも多くのエネルギーが必要になります。

つまり、思春期の子どもたちは、日常生活・身体の成長・スポーツ活動という3つの目的にエネルギーを使っているのです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、1日に必要なエネルギー量の目安は以下のとおりです。

年齢 男子 女子
12~14歳 2,600kcal 2,400kcal
15~17歳 2,850kcal 2,300kcal

※身体活動レベルが「ふつう」の場合。

運動量が多い場合には、12~14歳の男子で約2,900kcal、女子で約2,700kcalが目安となります。

ただし、これらは平均的な数値であり、激しい練習を行う選手では、さらに多くのエネルギーが必要になることもあります。

② 食事量が不足すると、骨が弱くなる?

骨は一度つくられたら終わりではありません。

古い骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨をつくる「骨形成」を繰り返し、常に生まれ変わっています。

特に思春期は、骨量が急速に増加する大切な時期です。

ところが、食事から摂取するエネルギーが不足すると、身体は生命維持を優先し、成長や生殖機能などに使うエネルギーを節約しようとします。

その結果、骨の形成に関係するホルモンの働きが変化し、骨量の増加が妨げられることがあります。

このような状態は「利用可能エネルギー不足」と呼ばれ、スポーツ医学では「RED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)」という概念で注目されています。

RED-Sでは、骨の健康だけでなく、疲労回復、免疫機能、集中力、成長などにも悪影響が生じる可能性があります。

また、女子では月経不順や無月経が現れることがありますが、男子にも起こる問題であり、体重が減っていなくてもエネルギー不足に陥ることがあります。

③ エネルギー不足と疲労骨折の関係

疲労骨折とは、骨に繰り返し小さな負荷が加わることで生じる骨折です。

通常、骨には運動による小さな損傷を修復する能力があります。

しかし、ランニングやジャンプなどの負荷が繰り返され、骨の修復が追いつかなくなると、疲労骨折が発生します。

特に問題となるのが、運動量の増加とエネルギー不足が重なる場合です。

運動によって骨への負荷が増えているにもかかわらず、食事不足によって骨の形成や修復が妨げられると、疲労骨折の危険性が高まります。

すねの骨(脛骨)や足の甲(中足骨)などは、疲労骨折が起こりやすい部位です。

運動中に特定の場所が痛む、走ると痛みが強くなる、押すと一点が痛いといった症状がある場合には注意が必要です。

初期にはレントゲンで異常が見つからないこともあり、必要に応じてMRI検査を行います。

④ 疲労骨折を防ぐための食事のポイント

疲労骨折を予防するためには、カルシウムやビタミンDなどの栄養素も重要ですが、それ以前に、十分なエネルギーを摂取することが大切です。

特に意識していただきたいのは、次の4つです。

1.朝・昼・夕の3食をしっかり食べる

朝食を抜いたり、昼食を少量で済ませたりすると、必要なエネルギーを確保することが難しくなります。

2.炭水化物を十分に摂取する

ご飯などの炭水化物は、スポーツに必要なエネルギー源です。成長期に極端な糖質制限を行うことは勧められません。

3.運動量に応じて補食を取り入れる

練習前後には、おにぎり、バナナ、ヨーグルト、牛乳などを活用しましょう。3食だけでは不足するエネルギーを補うことができます。

4.骨の材料となる栄養素を摂取する

カルシウム、ビタミンD、たんぱく質なども重要です。乳製品、魚、大豆製品、肉、卵などをバランスよく食べましょう。

⑤ 成長期は「痩せること」より「強い身体をつくること」

スポーツによっては、体重が軽い方が有利と考えられることがあります。

しかし、成長期に無理な減量を行うと、疲労骨折だけでなく、身長の伸びや筋肉の発達、競技パフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。

また、体重が増えることを気にする子どももいますが、思春期には骨や筋肉が成長するため、体重が増えること自体は自然な現象です。

大切なのは、体重の数字だけではなく、健康的に成長できているかどうかです。

まとめ

思春期は、一生の骨の健康を左右する大切な時期です。

この時期に十分な骨量を獲得することは、将来の骨粗鬆症予防にもつながります。

スポーツを頑張ることは素晴らしいことですが、「たくさん運動すること」と同じくらい「しっかり食べること」が重要です。

運動量に見合った食事を取り、十分な睡眠と休養を確保することが、疲労骨折を防ぎ、強い身体をつくる基本となります。

成長期のお子さんに運動中の痛みが続く場合には、無理をせず、早めに整形外科へご相談ください。

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