拘縮肩に対するサイレント・マニピュレーション(非観血的関節授動術)とはの症状や治療、予防について

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最終更新日

2025.12.15

拘縮肩に対するサイレント・マニピュレーション(非観血的関節授動術)とは

拘縮肩に対するサイレント・マニピュレーション(非観血的関節授動術)とは

肩関節拘縮とは何らかの原因で肩関節の動きが悪くなる症状です。肩関節周囲炎(五十肩)によく併発します(明確な原因がない場合もあります)。

肩関節周囲炎はリハビリをしても症状がよくなるまでに23年かかることも多く、約半数の人で肩関節の可動域制限や痛みなどの症状が残るとも言われています。

病態は、加齢や炎症により肩関節を包む関節包という組織が硬くなり縮んでしまうためです。固まってしまうとリハビリだけでは改善が難しいことも多く、内視鏡で関節包を切ったり剥がしたりして動くようにする手術(鏡視下関節授動術)も行われることがあり、それも有効な治療ですが、入院の上、全身麻酔で受けなければなりません。

当院では日帰りで、伝達麻酔下にサイレント・マニピュレーション(非観血的関節授動術)という方法で硬くなって縮んだ関節包を広げて肩の動きを改善する処置を行っております。(保険適応)

サイレントマニュピレーションは、鏡視下関節授動術と術後成績(効果)が同等であるという論文が多く出されており、非常に良い治療だと考えられます。

適応となる方

肩関節の可動域制限が強く、リハビリテーションなどで十分改善しない方

適応とならない方

  • 関節包など軟部組織の拘縮以外に可動域制限の原因がある方(重度の変形性肩関節症など)
  • 65歳以上の女性
  • 重度の骨粗鬆症、または骨粗鬆症による骨折を生じたことがある方
  • 局所麻酔薬にアレルギーがある方
  • 慢性呼吸器疾患がある方(麻酔で呼吸機能が一時的に低下する可能性があるため)
  • 術後リハビリに通えない方(最低1か月間、できれば週2-3回以上)

サイレント・マニピュレーションの具体的な方法・施術の流れ

術前

  • サイレント マニュピレーションの適応(その治療が適切か)を判断するために、肩関節のレントゲンやMRIの画像検査を行います。
  • また、合併症を避けるために骨密度検査、胸腰椎レントゲン(過去の脆弱性骨折の有無確認)、胸部レントゲンや血中酸素濃度測定(呼吸器疾患の有無確認)、などの術前検査をしっかりと行います。

術当日

  • 横になっていただき、超音波(エコー)で神経の部位を正確に確認した後、首の横あたりから針を刺して肩関節周囲の痛みを感じなくする伝達麻酔を行います(斜角筋間ブロック)。
    15分ほど座って安静にしていただくと肩関節周囲から腕にかけて麻酔が効いてきて肘が曲げられなくなります。人によっては麻酔をした方の腕全体の感覚が一時的になくなる場合もありますが、麻酔が切れたら元に戻りますので心配はいりません。
    麻酔の効きが不十分な場合には麻酔の注射を追加する場合があります。
  • 麻酔が効いたことを確認したら再度ベッドに横になり、医師が患者さんの腕を保持し愛護的に肩関節の挙上や回旋動作を行い、関節包を広げていきます。この際に関節包が引き伸ばされる音が聞こえるときもあります。処置は数分から10分程度です。
  • 肩関節が十分に動くようになったことを確認します。
  • 麻酔が切れた後に痛みが出にくいよう肩関節内へ痛み止めの注射を行います。
  • 術後に骨折などが起こっていないか確認するためにレントゲン撮影を行います。
  • 麻酔の影響でしばらく腕が動きにくいですので術後は三角巾で腕を吊っていただきます。個人差がありますが、数時間(長い場合でも半日)で麻酔は切れます。(当日は自転車、車、バイクなど運転での帰宅はできません。)
  • その後、30分ほど待合室で様子を見ていただき、体調に問題がなければ帰宅していただきます。当日のシャワー浴も可能です(入浴は控えるのが無難)。
  • 所要時間は、麻酔開始から終了まで1時間半〜2 時間程度が目安です。

サイレント・マニピュレーションの副作用・合併症・リスクについて

  1. 感染:非常に稀ですが、麻酔の注射で細菌が侵入して感染を起こしてしまうことがあります。糖尿病などがあるとリスクが上がります。
  2. 脱臼、骨折:非常に稀ですが、硬くなった肩関節を動かす際に上腕骨・肩甲骨骨折や肩関節脱臼が起こってしまう可能性があります。高齢女性など骨粗鬆症が強い方に起こることがほとんどであるため、事前に骨密度を測るなど予防をし、慎重かつ愛護的にマニピュレーションを行います。
  3. 局所麻酔薬を使用するため、ふらつき、血圧低下、呼吸苦(緊張による過呼吸や、麻酔の影響で片肺の動きが一時的に悪くなる場合があります。)、などが生じることがあります。また局所麻酔に対するアレルギーや重篤な中毒症状が生じる可能性も、非常に低いですがゼロではありません。
  4. 神経血管損傷:首から注射で麻酔をするため、血管を穿刺し出血が生じたり、神経損傷により腕や手の痺れが長期間持続、もしくは残存してしまう可能性など、非常に低いですがゼロではありません。
  5. 神経麻痺:長期間動いていなかった肩関節を動かすため、神経が牽引・刺激され術後に肩・腕・手の神経麻痺(しびれや動かしにくさ)などの症状が出ることがごく稀にあります。基本的には日にちと共に回復しますが症状が残ってしまう場合があります。
  6. 改善不良、再癒着:いくらマニピュレーションをしても硬すぎて一定以上可動域が広がらない場合や、一度改善しても再び癒着してしまい可動域が悪くなることがあります。
  7. 上記も含め、その他、予期せぬ合併症が生じた際には最善を尽くして対処させていただきます。

注意事項

当日

  • 自転車、自動車、バイクなど運転での帰宅はできません。
  • 脱ぎ着がしやすく動きやすい服や靴でお越しいただいております。

翌日以降

  • 状態確認とリハビリ開始のためにできるだけ翌診療日に受診していただいております。

このような流れでサイレント・マニュピレーションを行っておりますので、肩関節周囲炎(五十肩)による肩関節拘縮でお困りの方は、ぜひご相談に来ていただけたらと思います。

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