ランニングと変形性膝関節症の症状や治療、予防について

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最終更新日

2025.10.21

ランニングと変形性膝関節症

ランニングと変形性膝関節症:最新の論文に基づく知見

ランニングと変形性膝関節症 (Knee Osteoarthritis: OA) の関係については、長年「ランニングは膝に悪い」「摩耗する」といった懸念が持たれてきました。しかし、近年の疫学研究や系統的レビューに基づいた論文の蓄積により、この懸念はレクリエーションレベルのランナーにおいては、むしろ逆であることが示唆されています。

娯楽(レクリエーション)レベルのランニングはむしろ保護的

複数の論文や系統的レビューのメタアナリシスでは、レクリエーションレベルのランナーは、運動不足(座位時間の長い)の人と比較して、変形性膝関節症の発症率が低いという一貫した証拠が示されています。

• ある研究では、娯楽ランナーの膝または股関節の変形性関節症の有病率が3.5%であったのに対し、座位時間の長い人では10.2%であったと報告されています。

• この結果は、複数の要因が考えられるので一概には言えませんが、ランニングが関節軟骨の健康を維持するために必要な間欠的な負荷を提供し、関節周囲の筋力を強化することで長期的に関節を保護する効果がある可能性があることを示唆しています。また、ランニングは肥満という変形性膝関節症の主要なリスク因子を軽減する効果も期待できます。

エリート/競技レベルのランニングにおけるリスク

一方で、ランニングの用量反応関係も指摘されています。つまり、高頻度・高強度のトレーニングを行うエリートランナー元エリートランナーでは、変形性膝関節症の有病率が、娯楽ランナーや座位時間の長い人よりも高い傾向にあることが示されています(例:13.3%)。

これは、高負荷かつ長期間にわたるトレーニングが軟骨回復の時間を奪い、関節構造に過度のストレスをかける可能性を示唆しています。しかし、このリスクは「変形性膝関節症の発症」全般のリスク因子(年齢、肥満、過去の膝の損傷など)を考慮する必要があり、一概にランニングだけが原因とは断定されていません。

既存の変形性膝関節症への影響

すでに変形性膝関節症を患っている人にとって、ランニングが症状や構造的な進行を悪化させるかどうかも重要な論点です。

• 研究によると、ランニングは既存の変形性膝関節症を持つ人の症状(痛み)を悪化させない可能性があり、非ランナーと比較して痛みの改善を報告した例も見られます。

• また、ランニングが放射線画像上の変形性膝関節症の進行を加速させるという一貫した証拠は得られていません。

変形性膝関節症患者であっても、痛みや炎症を管理しながら適切な頻度と量でランニングを継続することは身体活動ガイドラインを満たし、全体的な健康とQOLを向上させる上で安全かつ有益であると考えられています。

結論:ランニングは「悪者」ではない

最新の論文ベースの知見は、「ランニングは膝に悪い」という従来の通説を覆しつつあります。レクリエーションレベルでのランニングは、むしろ変形性膝関節症のリスクを軽減する保護的な役割を果たす可能性が高いです。

ただし、膝関節の損傷歴がある人や、過度の高負荷・高頻度のトレーニングを行う人(エリートレベル)では、リスクが高まる可能性があるため、自身の身体状況に応じた適切な管理と、必要に応じた専門家(医師や理学療法士)のアドバイスを受けることが重要です。継続的な適度な運動は、膝関節を含む全身の健康にとって不可欠な要素であると言えるでしょう。

膝の痛みや違和感があるがランニングを続けて良いか不安がある方は一度受診して検査を受けてみることをお勧めします。

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